インターネットへの接続ユーザー数の急激な増加や、より高速なアクセスの要求から、世の中いろんな通信媒体がでてきました。まあ、まったく新しい通信メディアってものはそんなに簡単に作れるものではありませんが、既にある通信媒体を応用してインターネットへ接続する手法がかなり多くなってきました。ま、その方が投資額も少なくてすみますので、提供する側にとってもサービスを受ける側にとってもコストが安く上がるのはうれしいことですね。最近では、政府もIT戦略会議で国内のインフラ整備の遅れを指摘していますし、今後、高速常時接続インフラは加速度的に手に入りやすくなってくることでしょう。
そこで、今回は現在の通信媒体から最近の高速通信媒体まで、いくつかの通信媒体について少々書いてみようと思います。
普通の電話線 | ISDN | フレッツ・ISDN |
xDSL | OCN | CATV網 |
有線放送網 | 無線インターネット | FTTH |
携帯電話 | PHS | その他 |
これについては、いまさら多くを語る必要も無いかと思いますが、皆様良くご存知の電話をするときに使われている電話線のことで、一般(住宅用・事務用)加入電話回線やアナログ回線などと呼ばれています。媒体そのものは銅線、メタル線、メタリックケーブルなどとも呼ばれます。この電話線は、一般に通話で使う「音声」を流すことしか考慮されていませんので、当然通信は全て音声で行われます。そこで、この電話線でインターネットへ接続するには、モデム(MODEM:Modulator-DEModulator:変復調装置)と呼ばれる装置をパソコンに接続して通信を行います。モデムは、パソコンのディジタルデータを音声に変換(変調)して電話線へ送り出したり、音声で送られてきたデータをパソコンのディジタルデータへ変換(復調)したりすることができます。モデムを使ったときに「ぴぃ?ぴぃ?がぁ?あぁ?」などの音を聞いてびっくりしたことのある人も多いのではないでしょうか。これが音声に変換された通信データで、実際には音声信号と呼ばれるものです。
現在のところ、モデムによるデータ通信で最も高速なのがITU-T V90規格で、ユーザーから見て上り(ユーザーのパソコン側からの送信)最大33.6Kbps、下り(ユーザーのパソコンへの受信)最大56Kbpsの伝送能力を持っています。ただし、アナログ回線では音による通信を行いますので、ノイズ(雑音)の影響などを受けやすく、モデムの内部ではノイズによるエラー制御などを絶えず行っており、理論値で通信できることはほとんどありません。56Kモデムでは、さらにデリケートな通信を行いますので、50Kbps程度でつながれば優秀で、パソコンのファイル容量の単位であるバイト換算でおよそ7Kバイト/秒程度、実際には5Kバイト/秒程度が現実です。ちなみに、筆者宅では、56Kモデムを使って、接続約46Kbps、ファイル換算で実測値4Kバイト/秒程度しか出ません。(T-T)
留意事項としては、電話回線にはトーン回線(プッシュ回線)とパルス回線がある点くらいです。今のプッシュ式の電話機はほとんどどちらでも使えますので気がつかない方も多いかと思いますが、受話器を上げて、ダイヤルしたときに「プツプツプツプツ」と音がするのがパルス回線で、「ピポポ」と音がするのがトーン回線です。これを間違えると全然つながらないなんてことにもなりかねませんので、注意したいですね。Windowsであれば、モデムのプロパティにある「ダイヤルのプロパティ」ボタンで設定できますので、適宜設定しましょう。
さて、近頃話題のxDSLですが、これはこの一般加入電話回線であることが前提となっており、ISDNへ切替えてしまうと利用できなくなります。xDSLの為に、わざわざ元に戻したり、新たに一般加入電話回線を契約することにもなりかねませんので、ISDNへの切替えは慎重に行いたいところですね。
通信速度 | ITU-T V90規格 上り最大33.6Kbps/下り最大56Kbps | ||||
メリット | 既存の電話回線を利用するので、新たに回線を引かない場合は施設工事負担金などがかからないほか、ほとんどのパソコンに56Kモデムが標準搭載されているため、すぐに利用できる。 | ||||
デメリット | 音楽や映像配信など、これからのインターネット利用を考えると、とてもではありませんが遅すぎます。また、使用する環境(交換局からの距離や、宅内の配線状態、プロバイダ側設備の性能など)によって、かなり通信品質にばらつきがあります。 | ||||
コストなど | 電話の基本料金及び通話料に加え、別途プロバイダ費用がかかります。最近では、通話料とプロバイダ費用を込みにしたサービスも展開されています。ちなみに、本コンテンツ作成時に提供されているNTTの通話料割引付加サービスには、以下の様なサービスがあります。
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ISDNは、Integrated Services Digital Networkの略で、ITU-Tの国際規格となっています。国内では、このISDNへアクセスするためにINSネット64とINSネット1500の2つのサービスが用意されています。
一般的にご家庭やちいさな事業所で用いられるのはINSネット64です。INSネット64では、従来の電話用のメタルケーブルをそのまま用いますので、既存のアナログ電話回線をINSネット64に切替える場合には、新たに電話線を引く必要が無いため施設工事負担金などの初期費用がかかりません。また、ディジタル通信のため、モデムのような余分な処理が無く、回線品質さえ確保されていれば、64Kbpsの通信速度を最大限に発揮してくれます。
INSネット64に切替えられた電話回線は、論理的にBチャネルと呼ばれる64Kbpsの回線が2回線、Dチャネルと呼ばれる制御用の16Kbps回線が1回線となりますが、一般の方に関りが深いのはBチャネルです。テレビコマーシャルなどで「電話をしながらインターネット」などと宣伝しているのは、Bチャネル1回線でインターネット接続をしていても、もう片方のBチャネルで通話が可能である事を意味しています。2本のBチャネルを使って128Kbpsの通信を行うMP(マルチリンクプロトコル)接続をすることも可能です。ただし、その際は当然ながら電話ができなくなります。なお、TA(下記)のBOD(Bandwidth on Demand)機能などにより自動的に切替えることは可能です。
INSネット64を利用するには、DSU(Digital Service Unit)とTA(Terminal Adapter)が必要になります。DSUは、回線接続装置とも呼ばれ、ISDN回線とその他のISDN用機器の間で信号変換などを行います。また、TAは、従来のアナログ電話やFAX機器などの信号をディジタル化するなどの働きをする装置です。TAは、通常2?3個のアナログポートを持っています。基本的に、ISDNとの中継を行うDSUは一家に一台あれば良いのですが、TAはアナログポートが足りないときや設置場所の都合により複数台必要になることがあります。したがって、DSUとTAは本来別々に売られているものです。しかし、TA-DSU間の配線に関わる手間やエンドユーザーの工事によるトラブルもあって、DSU内蔵型のTAが大勢を占めるようになっています。もしも、TAだけを使いたい場合には、DSU内蔵型のTAであっても、DSUだけを切り離して使うことができます。
TAをパソコンで使う場合は、通常USBまたはRS-232Cケーブルにてパソコンと接続します。ダイヤルアップの設定などは、普通のモデムとなんら変わりありません。相違点としては、ダイヤルアップ接続時、ダイヤルアップから認証までにかかる時間がとても短いので、これもひとつのメリットになるかと思います。また、TAと並んでISDNで良く用いられるものにダイヤルアップアクセスルータがありますが、これは概ねTAとDSU、Ethernet HUB、ルータを統合した製品で、主にLANをインターネットへ接続するときなどに用いられます。
ちなみに、INSネット1500は、文字通り約1.5M(1536K)bpsの通信ができる回線サービスで、64KbpsのBチャネルが23回線、同じく64KbpsのDチャネルが1回線になります。また、宅内のDSUからNTTの電話局までを光ファイバーで接続しますので、契約には別途施設工事負担金が必要になります。
留意事項としては、ISDNには極性がある点です。工事が終わっていざダイヤルアップ接続をしようとした際、正しく設定されているにもかかわらずまるでつなぐことができないときがあります。こんなときは、真っ先にTAの背面を見てみましょう。ほとんどの場合、極性反転スイッチがありますので、これを切り替えて試してみましょう。また、MP接続を利用する場合は、少し古いパソコンですとRS-232Cのポートそのものが115.2Kbps程度の速度しか出ず、128Kbpsのメリットを発揮できないので、その場合は別途高速シリアルポートなどを導入する必要があります。
ところで、このISDNにも高速化の波が押し寄せてきているようで、現行ISDNのBチャネル2回線に高速通信回線を1回線増やして提供するサービスが検討されているようです。高速通信回線には、xDSLの採用が最も有力視されていますが、現段階では詳細は不明。
2001.01.19追記:このDSLを追加して提供するサービスですが、ZDNNによると、技術的にはSSDSL(Synchronized Symmetric Digital Subscriber Line)というものを使うようですが、いろいろしがらみもあってピンチみたいですね。詳細は関連ニュースを見てください。
通信速度 | INSネット64 Bチャネル 1回線で64Kbps、2回線で128Kbps |
メリット | 既存の電話回線のままディジタル通信が可能。Bチャネルを2本使わなければ、通信と同時に電話の使用も可能です。また、アナログ回線1回線分とそれほど変わらない基本料金で、2回線分利用できますので、アナログ回線を2回線引くよりは、INSネット64がお得になります。 |
デメリット | アナログ電話回線と比較して、格段に安定した高速データ通信が行えますが、やはりこれからのインターネットの利用方法を考慮すると、かなり苦しくなってくることが予想されます。 |
コストなど | 電話の基本料金及び通話料に加え、別途プロバイダ費用がかかります。最近では、通話料とプロバイダ費用を込みにしたサービスも展開されています。ちなみに、本コンテンツ作成時に提供されているNTTの通話料割引付加サービスには、以下の様なサービスがあります。
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関連リンク |
NTT東日本、
NTT西日本 |
トピック |
2001.01.18:NTT東日本の“ISDN&DSL”サービスに黄信号 -> ZDNN |
フレッツ・ISDN(アイエスディーエス)は、ISDN回線からインターネットに接続するための完全定額制サービス「IP接続サービス」として、1999年11月より試験サービスされていたもので、NTT東日本では2000年7月17日より、NTT西日本では2000年7月7日より本格運用になりました。
フレッツ・ISDNは、ユーザーから見ると普通のINSネット64と同じですので、通信そのものに大きな違いはありませんし、必要な機器も同じですが、収容局からインターネット接続業者(プロバイダ)までの接続回線に地域IP網を使います。
現在の水準から考えて、伝送量の面では見るべきところはありませんが、月額固定料金となる点がポイントです。また、既にINSネット64をご利用の場合は、その他に必要となる機器も無く、移行は簡単です。
試験サービス開始当時、時間帯制限無しのテレホーダイと話題になりましたが、価格が\8,000と高額だったことと、提供地域が非常に狭い範囲であったことも災いし、一時期かなり忘れられた存在となっていました。しかし、2000年5月11日の料金改正で\4,500円になり、合わせて提供地域が拡大、さらに2000年7月からの本格運用開始となり、再び脚光を浴びることとなりました。
このサービスを提供するには、インターネット接続業者が県単位に構築されている地域IP網と呼ばれるネットワークに接続している必要があり、当然その様なサービスを提供するインターネット接続業者が無いとエンドユーザーは加入できません。この地域IP網ですが、最近では、フレッツ・ADSLや光IP通信網サービスなどでも利用されており、今後の負荷が気ちょっと気になります。プロセスとしては、エンドユーザがインターネットへ接続すると、NTTの収容局から地域IP網にあるプロバイダのアクセスポイントへ通信を流します。この地域IP網は、県内全域に接続されているので、市外通話などの概念が無く、プロバイダからみるとアクセスポイントをエリア別に用意する必要もなくなります。
さてさて、定額制ということで、インターネットへの常時接続が可能となるフレッツ・ISDNですが、気になるのがサーバーの立上げです。グローバルアドレスを固定で提供してくれる接続業者があれば、なんとこれだけの低価格でサーバーをたてることが可能です。現在調べのついたところでWINSystem、VC-net、zootが固定でグローバルアドレスを提供してくれているようです。基本的に貸与されるグローバルアドレスはひとつですので、サーバーをたてる場合、一般的にはTA/DSUでの運用となるでしょう。また、ルータによるポートフォワーディング(ルータが受け取った通信をLAN内のサーバーに受け渡す処理:参考記事「フレッツ・アイで自宅サーバ」)による運用も可能かと思います。本格的にサーバーをたてるとなると回線容量が物足りませんので、小人数のお友達レベルで情報交換をするサーバー程度であれば、なんとかなるかなぁ?と言ったレベルでしょう。ただし、お友達レベルとは言え、サーバーをたてるとなれば油断は禁物。セキュリティーの知識については、かなり高度なレベルが要求されますのでご注意下さい。この点を留意し、対策を施せるレベルであれば、有効な選択肢の一つとなるのではないかと思われます。セキュリティの面から考えて、サーバーを使わないのであれば、なにも常時接続をする必要が無いのもフレッツ・ISDNの魅力かもしれません。
まがりなりにも本格運用開始がアナウンスされましたので価格を書きますと、フレッツ・ISDN利用料金は4,500円(2001.03.01より3,600円)です。そのほかに別途プロバイダ費用がかかります。プロバイダ費用は、無料インターネット接続のlivedoorが無料であるのを除くと、ZEROの定額\400、ASAHIネットの定額\450あたりが最低価格帯のプランで、後はOCNが\2,000、DIONが\3,000等々となっているようです。プロバイダが試験運用だったり、常時接続が可能なフレッツ・ISDNに対して従来のダイヤルアップの従量制課金を適用しているなど、不都合が多々見られるのが現状のようです。
2001.01.19追記:フレッツ・ADSL開始に伴う割高感の払拭のため、ほんの少しですが値下げが決まり、現行\4,500/月が\3,600円/月になります。
通信速度 | Bチャネル1回線64Kbps固定。 |
メリット | INSネット64ユーザであれば、既存の設備のまま月額固定料金の常時接続環境が手に入る。 |
デメリット | INSネット64同様、今後に不安が残ります。 |
コストなど | 電話の基本料金と、通話料に該当するフレッツ・ISDN利用料金(\3,600/月)に加え、別途プロバイダ費用がかかります。 |
関連リンク |
NTT東日本、
NTT西日本 |
トピック |
2001.06.28:「フレッツ・ISDN・ADSL」の料金値下げ等について:NTT東・NTT西 2001.01.18:「フレッツ・ISDN」等の値下げについて |
xDSLとはDigital Subscriber Lineといって、既存の電話で使っているメタルケーブルそのままで、高速通信を実現してしまおうという技術の総称です。ADSL(Asymmetric DSL:非対称DSL) や、 SDSL(Symmetric DSL:対称DSL) など、いくつかの種類が提案され仕様が策定されています。既存のメタル配線で高速デジタル通信を実現するあたりは、INSネット64も一種のxDSLと言ってもよろしいかと思います(ただし、現在xDSLとくくられている技術とは異なるものです)。
ADSLの大まかな仕組としては、通話では使われない高い周波数帯を上り用と下り用に分け、さらにその周波数帯を約4kHzずつに区分けして利用します。ADSLモデムの中では、それら周波数帯一つ一つに専用のモデムのようなものを準備して、個々に通信を行います。イメージとしては、一般加入電話回線で説明したモデムを大量に並べて並列処理をし、高速通信を実現しているような感じとなります。担当している各周波数にノイズなどが入りこむと、最悪その周波数を担当しているモデムの使用を停止してしまうことになります。その結果として回線品質によって伝送量が変わることがありますが、その他の周波数帯で通信は継続できるようになっています。
個人や小規模事業所などで注目は、なんといってもADSLです。いくら高速といってもINSネット64では64Kbps、Bチャネル2本使っても128Kbpsしか出ません。2本使いきってしまうと、当然電話もできなくなります。ADSLは、INSネット64のように、電話による通話とデータ通信を同時にこなせ、なおかつデータ通信の速度は ITU-T G992.1仕様(フル・レートADSL/G.dmt)で上り最大640Kbps/下り最大6Mbps、 ITU-T G992.2仕様(簡易版ADSL/G.lite)で上り最大512Kbps/下り最大1536Kbps となっていて、 INSネット64 では考えられないような高速データ伝送を実現します。最終的には、このサービスを提供する接続事業者のバックボーン容量や設備内容などの都合により通信速度は制限されますし、前述のように回線品質や収容局からの距離によっても変わってきます。
同じ常時接続可能なサービス媒体として今話題になっているフレッツ・ISDN(IP接続サービス)では、通信速度がINSネット64のBチャネル1本で64Kbpsの通信しかできません。また、ADSLは高速インターネットアクセスで注目されているCATVと比べても、速度的にまったく遜色無いレベルですので、サービスエリア拡大の可能性を考えると、地方では期待の大きな高速インターネット接続媒体となります。
目下のデメリットとしては、ADSLで使われる周波数帯がISDN回線などと干渉する(恐れがある)ため、場合によってはADSLの持つ伝送量を享受できない点や、収容局までの全ての電話線がメタルケーブルである必要があるため、間に光ケーブルなどが既に敷設されているような場合は、サービスを受けることができない点などが上げられます。このあたりのことは、ADSL申し込み後に実施される検査によって判明することとなります。
なお、ADSLサービスは、第一種サービス事業者による接続(NTTがADSL装置を設置するもの)と、第二種サービス事業者(プロバイダがADSL装置を設置するもの(MDF接続))に分かれます。さらに加入者回線について加入電話と共用するタイプ1と、加入者回線について加入電話と共用しないタイプ2などに分かれます。
・・・その後の経過報告ですが、平成12年12月12日(下記)発表の通り、ADSLの本格提供開始のアナウンスとともに、NTTのADSLサービス「フレッツ・ADSL」の提供がアナウンスされました。フレッツ・ADSLは、フレッツ・ISDNと同様、収容局から先は地域IP網を利用します。で、フレッツ・ISDNに対応しているプロバイダさんならすぐにフレッツ・ADSLも提供できそうなイメージがありますが、NTT側にて提供するプロバイダと地域IP網をつなぐ網終端装置をサービス毎に用意する必要があり、またまたコストがかかりそうですね。
2001.01.19追記:現在レンタルでレンタルで提供されているDSLモデムを売りきりにすることがきまりました。ということで、コストからDSLモデムレンタル料金に該当する価格分が下がります。例えば、フレッツ・ADSLでは、現在4,600円のうち、屋内配線利用料の60円、機器利用料の490円が差し引かれ、4,050円となります。このADSLの多様なコスト体系について、いつかまとめたいなぁ?と思っています。
2001.05.29追記:ちょっとアドバイスですが、フレッツADSLが広まってしまったため勘違いをされている方も多いようですが、ADSLとフレッツは別物として考えましょう。ADSLは、概ね以下の様な形態で接続します。
●あなたのおうち <-ADSL回線-> 収容局 <- 専用線 -> ISP <- バックボーン -> インターネット
で、フレッツADSLは、この専用線と書いた部分に地域IP網を使ったNTTのサービスです。それぞれ業者によってオリジナルの回線網を使ったサービスが提供されておりますので、とりわけフレッツに固執する必要はありません。例えば、e-accessは、この専用線部分のみを提供しており、形態としてはフレッツに近く、別途ISP費用がかかります。また、めたりっく通信各社は、ISPも含めて提供しています。それぞれ、近隣で提供されているサービスを良く比較して契約することをお勧め致します。
2001.10.26追記:しばらく放置していた間にいろいろ動きがあったので追記。まず、2001年06月中旬から予約を開始したYahoo!BB。フルレートADSLのAnnexAで最大8Mbps、おまけに初期費用はNTTに徴収される3,600円のみで実質無料。さらに月額がプロバイダ料金まで含まれて2,830円(スプリッタ・モデムレンタルで+550円)よりということで、ADSLの価格破壊と各業者間の市場競争をもたらしました。さらに、知名度普及や各社のフルレートへの参入などさまざまな面でADSL業界に革命をもたらしましたが、電話サポートが無い、メールでの問い合わせへの対応が最悪、サービス開始状況がバラバラなど、ぼちぼちサポート面での不備がささやかれるようになってきています。一方、NTT東日本も多少なりとも現行フレッツ・ADSLの価格の引き下げ及び8Mサービスの追加で追従するようになってきました。ちなみに、こちらはフルレートADSLのAnnexCです。
通信速度 | ADSL: ITU-T G992.1仕様(フル・レートADSL)で上り最大640Kbps/下り最大6Mbps ITU-T G992.2仕様(簡易版ADSL)で上り最大512Kbps/下り最大1536Kbps |
メリット | 既存の電話回線のまま高速ディジタル通信が行えます。電話と通信を同時利用可能です。 |
デメリット | FTTH化が進んでメタルケーブルの撤去とともに、使えなくなる可能性があります。ただし、現在のところ、メタルケーブルの撤去には、代替接続方法の提供と、撤去4年前の通知が義務付けられているようです。 |
コストなど | 既にご利用中の電話回線を使う場合、基本料金及び回線使用料 \187 に加え、別途プロバイダ費用がかかります。ちなみに、東京めたりっく通信の「A1 ADSL標準接続」では、いわゆるプロバイダ費用相当分(通話料まで含んだイメージで)が月額\5,500定額で常時接続となっています。 フレッツ・ADSLは、イーアクセスなどと同様、ADSL回線のみを提供するサービスで、コストは下記発表資料によりますが、別途フレッツ・ADSL(地域IP網)対応プロバイダ費用がかかります。 |
関連リンク | NTT東日本、NTT西日本 ○第一種サービス事業者 NTT-ME、 NTTコミュニケーションズ、 日本テレコム株式会社フレッツADSLプラン @nifty ○第二種サービス事業者 東京めたりっく通信株式会社、 イー・アクセス株式会社、 株式会社コアラ |
関連リンク |
2001.10.26:Yahoo! BBが電話でのサポートを11月1日に開始 2001.10.25:フレッツ・アクセスサービスの提供計画について:NTT東 2001.06.28:「フレッツ・ISDN・ADSL」の料金値下げ等について:NTT東・NTT西 2001.06.19:月額2280円/最大8MbpsのADSLサービス「Yahoo!BB」始動 2001.01.18:ADSLモデム売りきり 2000.12.12:フレッツ・ADSLの提供開始についてNTT東・NTT西 2000.11.17:ADSLがやってくる 2000.11.14:DSLサービスに関する接続料金の認可申請について |
OCNは、Open Computer Networkの頭文字を取ったもので、NTTのプロバイダ事業の一環として始められたものです。発表当時としては格安の専用線常時接続環境を提供してくれていました。各地の電話局を中心にサービスを提供するため、その他のプロバイダでは実現できないような広域のサービス提供を可能としています。
OCNにはいくつかのサービス形態があり、随時ダイヤルアップで接続するOCNダイヤルアクセス、それ以外は常時接続の専用線となっておりOCNエコノミー、OCNスタンダードなどがあります。
OCNダイヤルアクセスは、近所に良いプロバイダが見当たらない以外には積極的に使う理由も見つかりませんが、専用線接続となると商用プロバイダで提供されている地域が極端に限られ、さらに異常なほど高額な接続料金となるため、OCNを選択するメリットの一つとなっています。一般的に個人や小規模事業所などで用いられるのがOCNエコノミーで、INSネット64回線と同じ接続媒体(つまり媒体そのものは普通の電話線)を使うので、常時接続によるあらたな初期投資が不要となるなど、コスト面で優れます。反面、ベストエフォート型と言って、複数のユーザーで回線を共有しているため通信速度が保証されない形態となっています。
OCNへの接続には、専用のルータまたはOCN対応のダイヤルアップアクセスルータを用います。ルータにハブが搭載されていれば、特別な設定や機器を導入しなくてもLANからアクセスできるのも魅力となっています。
比較的低コストで専用線・常時接続環境が手にできたため、初心者ユーザの無造作なサーバー運用が急増し、踏み台などのセキュリティ問題に発展し、世論の非難を浴び始めましたが、現在はパケットフィルタリングサービスなどのセキュリティサービスも提供するようになりました。
なお、OCNと同様のサービスに、KDDIのDION、日本テレコムのODNなどがあり、OCNエコノミー(128Kbps、ベストエフォート型)に該当するサービスとしてDIONスタンダード、ODNエコノミーなどがあり、以降それぞれほぼ同様のサービス体系となっています。アクセス形式としては、それぞれOCNアクセスラインを用いてNTT収容局までアクセスし、そのバックボーンを各社の専用線で接続しています。
通信速度 | OCNエコノミー ベストエフォート型で最大128Kbps。そのほかサービスによっていろいろ。 |
メリット | 独自ドメインを取得して、比較的安価にインターネットへサーバー公開できる。サービスエリアがとても広い。専用線接続のため、別途電話代がかかりません。 |
デメリット | エコノミー以外のサービスはやっぱり高い。 |
コストなど | OCNエコノミーで月額固定\32,000となります。施設設置負担金などは、月額基本料金に含まれるため不要となりますが、その他レンタル機器などの諸契約条件によりいろいろ加算されます。一応専用線なのを考えると、それなりの安さではありますね。 そのほか、DIONスタンダードとODNエコノミーが\30,900で、OCNよりやや低い設定となっています。ただし、サービス提供エリアがかなり狭くなっていますので、事前調査が必要です。 |
関連リンク | OCN、 DION、 ODN |
ケーブルテレビで使用しているケーブルをインターネット接続用媒体として流用する比較的新しいタイプのインターネット接続媒体です。比較的安価に常時接続環境を手に入れることができますので、サービスエリアにお住まいの方にはとても好評。
通信速度は、実質INSネット64程度から数十Mバイトまでさまざまですが、ほとんどの場合ベストエフォート型です。
接続には、ケーブルモデムとLANアダプタを使います。CATV局からの配線イメージとしては、家の屋根にテレビアンテナを立てて、分配器から同軸ケーブル(一般庶民はアンテナ線って呼びますよね)を各部屋へ分岐して配線し、テレビにつなぐのと同じように、CATV局から電信柱などを経由/分配しながら配線し、最も近い電信柱から家庭内へ引きこみます。その宅内に引きこまれたケーブルにケーブルモデムと呼ばれる装置を接続し、そのケーブルモデムにLANアダプタを接続します。
とかくメリットばかりが目立つCATVですが、1地域に1業者の場合がほとんどのため、競争がおきにくい構造となっており、業者によって契約内容(グローバルアドレスの取得や複数の端末からのアクセス方法、通信速度など)がばらばらだったり、サービスエリアが極端に限定されていたり、サービスエリアであっても、インターネット接続サービスだけはエリア外なんてこともあるようです。さらにマンションなどの集合住宅では、あらかじめCATVに対応して建築されていない場合は、あきらめるしかありませんし、その他諸事情により問題も多いようです。
通信速度 | 64Kくらいから数十Mバイトまでいろいろ。 |
メリット | 比較的高速通信可能な業者が多い、割と低価格。 |
デメリット | サービスエリアが狭い!ケチな業者も多い!競争の原理が働いてない!ケーブルが共有のため速度にばらつきが。 |
コストなど | これがまたまちまちで、相場としては\5,000?\8,000程度でしょうか。ま、電話料金とはまったく別の料金体系になるので、この金額だけを考えれば良いので、気分的にはちょっと楽かなぁ?あと、インターネットだけの契約より、本来の目的であるケーブルテレビとのセットの方が、安くなる傾向にあるようです。 |
関連リンク |
インプレス:CATVCATVインターネット接続事情 インプレス:CATVプロバイダガイド KDD MediaNet:CATVインターネットガイド |
有線放送で有名な「株式会社大阪有線放送社」が、社名も新たに有線ブロードネットワークスという会社になり、全国展開の常時接続ケーブルネットワークを目指しています。あっちこっちで有線放送が流れていることからもわかるとおり、サービスエリアがとても広く、期待の媒体であることは間違いありません。まだ詳細が公開されていませんが、仕組はCATVと同様になるものと思われます。現在第一種電気通信事業者としての認可を得るため、これまでの諸問題をクリアにする行動に出ております。さらにはバックボーンの強化や幹線の整備など課題は多いながらも着々と準備を進めており、近々サービスについての詳細も公開されることでしょう。
・・・ということで、経過報告ですが、2000年07月27日に、有線ブロードネットワークスの100%出資会社ユーズコミュニケーションズが第一種電気通信事業許可を取得し、2001年04月のサービス開始に向けて動き出したようです。サービスは、当初の私の想像をはるかに超えて、10Mと100Mの光ファイバによる提供です。グローバルIPはオプションで選択できるみたいです。サーバーもいけそうですね。詳細は、下記のリンクから有線ブロードネットワークスのページを開いてみてください。
2001.02.01追記:2000年10月より渋谷区の500世帯を対象に試験サービスを開始していたFTTHサービスですが、非公式・未確認ながら2001年2月15日に家庭用サービス開始との一報がいどばた掲示板のNo.109にはいりました。月額5,000円で10Mのサービスとなるようです。当面は都市部でのサービスとなるかと思いますが、これからの展開が楽しみですね。早く図を変えなくちゃ(^^;
2001.02.15追記:まだ東京都渋谷区と世田谷区の一部となりますが、2001年3月にサービス開始の運びとなりました。なんと家庭向けも含めて一律100Mbpsでの提供となりました。しかも、月額4,900円と、これまたお得な価格設定となっております。2003年までには全国主要都市への展開を目指しています。
通信速度 | 家庭向けは双方向対象型10Mbpsクラス・・・というお話でしたが、ベストエフォートながら、家庭向けも含めて一律100Mbpsとなりました。いよっ!ゆうせん太っ腹!さらに、Home100でも5つのグローバルアドレスの割り当てがあり、インターネットへの情報提供が比較的簡単に行えるようになると思われます。ちなみに、Office100では、基本使用料で9,800円とモデムのレンタル料900円、10台分のグローバルアドレスがついてきます。さらに増やしたい場合は、10台毎に6,000円となります。工事料は、Homeで30,000円+実費、Officeで50,000円+実費となっています。 |
メリット | サービスエリアがかなり広くなると思われる。とにかく高速。NTTの光IP網接続サービスと比べて回線容量で10倍となります。 |
デメリット | 現時点ではサービスエリアが狭い。 |
コストなど | 家庭向け(Home100)は月額の基本料金4,900円と専用モデムの使用料として月額900円。 企業向け(Office100)は月額の基本料金9,800円と専用モデムの使用料として月額900円。 初期費用は、加入時に契約事務手数料で3,000円、工事料は、Homeで30,000円+実費、Officeで50,000円+実費となっています。 |
関連リンク |
○有線ブロードネットワークス株式会社 |
トピック |
2001.02.14:光ファイバブロードバンドサービス3月1日サービス開始 -> usen 2001.01.16FTTHの先陣をきる有線ブロードネットワークス -> ZDNN 2000.10.13:FTTHでビデオ・オン・デマンドを実現するusen -> IT Pro |
スピードネットに代表される無線インターネットですが、スピードネットは、ソフトバンク、東京電力、マイクロソフトの3社により、低価格の常時接続が可能な高速インターネット接続を目指した会社として設立しました。スピードネットでは、東京電力の光ファイバ網をバックボーンとして利用し、各電柱に敷設されている基地局と呼ばれるアクセスポイントを置き、各家庭に無線アンテナを設置、宅内を同軸ケーブルで受信機まで配線、受信機からパソコンまでをEthernetで接続します。
発表当時、一般のエンドユーザの間では、INSネット64程度しか選択肢が無かったため、高速・常時接続は非常に大きな期待を集めましたが、その後のCATVインターネットのサービスエリアの拡大、IP接続サービス、xDSLサービスの発表などに押され、話題性も乏しくなり、さらに2000年5月19日のサービス開始時期の延期の発表、ソフトバンクが別会社にてxDSLを利用したプロバイダの新会社を設立するなど、ネガティブな話題が先行しています。ただし、CATVの様な有線であるが故の制約が緩和でき、サービス価格も比較的低く設定されているようです。
また、ソニーがブロードバンドインターネットサービス bit-drive を立ちあげ、この市場への参入を発表しております。現在のところ、ビジネス及び集合住宅向けとして、1.5Mbpsの常時接続サービスで15万円とかなり高額に設定されており、複数のユーザで共有することを前提としているようです。
・・・といっているまに、ワイヤレスインターネットサービス(下記参照)が2001年春のサービスを正式に発表いたしました。IEEE802.11準拠の無線機器を使って、最大2Mbps(実行スループットは1Mbps)程度、月額3,900円のサービスとなるようです。
そのほか、各地域で独自の試みとしても、ワイアレスネットワークを応用したシステムの運用が始まっているようです。
2001.03.22追記:というわけで、スピードネットもようやく第一種電気通信事業者の認可が下りまして、2001年5月よりサービス開始となる運びとなりました。現状では、IEEE802.11の無線LANを使った1.5Mbpsのものと、夏ごろから始まるEthernetひきこみの10Mbpsのものがあるそうです。将来的にはIEEE802.11bの11Mbpsも予定されているとのこと。まだ詳細は4月頃に発表となるようです。
2001.10.26追記:ほっぽらかしにしておいたNTTの無線アクセス「Biportable」。5GHz帯を使ったAWA(Advanced Wireless Access)で通信速度は36Mbpsらしいです。すごいですね。
通信速度 | スピードネット(無線アクセス1.5Mbps、有線アクセス10Mbps) |
メリット | 高速常時接続だそうです。 |
デメリット | CATVやADSLなどの、より現実的なインフラ整備が進み始めていて、新たに環境を整備する必要があるスピードネットの場合、これからの展開に多少の不安が残ります。また、正確な料金設定も発表されておらず、先行きの不透明感が払拭できていません。また、速度的にもゆうせんブロードネットワークスの光ファイバを使ったアクセスが既に開始されているため、どの程度普及するのか不透明な部分があります。 |
コストなど | スピードネット無線アクセス(初期費用:標準工事9,900円+契約手数料3,000円、月額使用料:4,350円) |
関連リンク | スピードネット、 bit-drive、 ワイヤレスインターネットサービス bitcatホームプラン |
トピック |
2001.10.10:「Biportable(バイポータブル)」のトライアル成果報告について 2001.03.21:スピードネットが5月より本サービス開始 |
現在のところ、NTTの最終目的とされるのが光ファイバー網を利用したFTTH(Fiber To The Home)で、NTTによれば、2005年の完成を目指しています。既に建設中のニュータウン内にFTTHを敷設して利用する「ニュータウン型光インターネットサービス」と呼ばれるサービスが実現されており、既にご存知の方も多いかと思います。また、最近では、あまり儲けの無いxDSLより、先にFTTHの知名度を上げようと画策するNTTのテレビコマーシャルなどでご存知ではないかと思います。
ニュータウン型の場合、FTTH化によるコストを分譲価格に含めていますので、月額\5,000程度でなんと10Mbps程度の通信が行えるようになっています。現在、近隣の電柱まで光ファイバを敷設し、要求によって宅内まで光ファイバの引きこみができるπシステムなどの普及すら思わしくなく、2005年までの完成は疑問視する声も多くあるようです。
・・・ということで経過報告ですが、2000年12月18日発表の資料によりますと、2000年12月26日より地域IP網をバックボーンとする「光IP通信網サービス」として試験サービスを開始します。気になる価格ですが、最大256ユーザで共用する「基本メニュー」で\13,000、企業などを想定し、最大32ユーザで共用する「高スループットメニュー」で\32,000、最大768ユーザで共用する「集合住宅向けメニュー」が\3,800となっています。仮にも次世代を謳った媒体ですので、今後マルチメディア利用が想定されるなか、他ユーザと共用利用した場合に同時アクセスが多発し、スループットが極端に低下するのではないかとの懸念が残ります。ま、この場合は地域IP網自体の飽和も同じですが(^^;
2001.03.26追記:ゆうせんブロードネットワークスの100M光ファイバによる本格サービス開始に伴い、あきらかに苦戦を強いられることが確定したNTTは、現行10Mのサービス(基本メニューで13,000円)を半額程度として、新たに100Mサービスを提供するようです。コスト的に考えると、それでもゆうせんが有利ではありますが、サービスエリア拡大の速度やカバー可能な範囲を考慮するといくらかアドバンテージもあるかなぁ。
通信速度 | 10Mbpsだそうです。100Mも検討中・・・。 |
メリット | 早期全国展開が期待できそうな高速、デジタル通信。 |
デメリット | 電話代とは基本料から別になります。NTT のケーブル敷設に多大なコストがかかりますが、その割を食らうのはユーザです。全国でFTTHが利用可能になるには、まだかなりの時間を要するはずですが、ゆうせんの登場により少しは早まるかな? |
コストなど | 光・IP通信網接続では、初期費用として、契約料800円、初期工事費で27,100円が必要です。基本メニューでは基本料金として13,000円/月が必要です。 |
関連リンク |
光・IP通信網サービス(仮称:NTT東日本) 光ファイバインフォメーション(NTT東日本) 光・IP通信網サービス(仮称:NTT西日本) 光ファイバ化計画(NTT西日本) |
トピック |
2001.10.25:フレッツ・アクセスサービスの提供計画について:NTT東 2001.06.28:光・IP通信網サービス「Bフレッツ」の本格提供開始について>NTT東・NTT西 2001.05.15:光ファイバおよび地域IP網の接続料>NTT東西 2001.05.09:NTTの光子会社はFTTHサービスを提供せず。 -> ITPro 2001.03.25:NTT、光ファイバー100メガ提供 -> asahi.com 2000.12.18:「光・IP通信網サービス(仮称)」の試験提供開始について -> NTT 2000.02.03:ニュータウン型光インターネットサービス、 FTTHへの取り組み |
携帯電話は、大まかにアナログ時代の第一世代、デジタルになった現代の第二世代、そしてIMT-2000を中心とした次世代携帯電話の第三世代にわかれているようです。ここでは、現在の第二世代を中心に、第三世代までの解説を少々書いてみたいと思います。
現在の国内携帯電話市場は、大きく分けてNTT DoCoMoグループ、日本テレコムグループ(J-PHON)、DDIグループ(DDI-セルラーグループ、IDO)に分かれています。
NTT DoCoMoグループは、PDC(Personal Digital Cellular)方式という日本独自の通信方式で市場を展開しています。このPDCは、800MHzPDCと1.5GHzPDCがあり、各企業グループに関わらず採用されている方式です。
PDC方式では転送レートが9600bpsとパソコンに接続してインターネットアクセスに用いる媒体としては不充分であるため、NTTでは別途PDC-P(DoPa)と呼ばれるパケット通信を開発し、PDCのフルレート回線を3本束ね、最大転送レートで28.8Kbpsまで通信速度を引き上げています。このPDC-P方式は、パケット通信であるため必ずしも通信速度は保証されませんが、実際にパケットが流れた分だけ課金されるパケット課金方式を採用しています。
一方、DDIグループでは、cdmaOneを主力の通信方式としています。CDMAは、Code Division Multiple Accessの略で符号分割多元接続と呼ばれ、米クアルコム社が特許を持つ世界的な通信方式のひとつです。このcdmaOne方式の携帯電話でパケット交換方式(PacketOne)の通信をすると、最大64Kbpsの転送レートが得られます(別途各携帯電話会社への契約が必要)。かつてPDC方式で後塵を拝していたDDIグループは、cdmaOneによりかなり巻き返しを図る事ができたようです。
以上のように、現在のところ携帯電話市場はこのPDC方式とCDMA方式に分かれています。プロバイダとの接続には、それぞれの方式に対応したプロバイダが必要となります。現在のところ、コンピュータを接続するための媒体として、携帯電話による積極的な利用は行われていないようです。その代わり、NTT DoCoMoのi-modeやDDIグループのWAP(EZアクセス、EZWeb)、J-PHONグループのJ-スカイサービス等の各社のサービスによって、携帯電話そのものや、携帯情報端末(PDA)でのインターネット利用が多くなっています。したがって、携帯電話に対応したプロバイダも、専ら大手商用プロバイダが主力で、それ以外の地域型プロバイダでは思ったより多くはないようです。ちなみに、i-modeやWAPは、特定用途向けのエレメントを追加したHTMLやXMLにより記述されたWebページを利用して、携帯電話の液晶ディスプレイの様なちいさな表示装置でも、さまざまな特定サービスを行うことができたり、電子メールを送ったりすることができるサービスです。
今後の展開としては、現在ITUが標準化を進めている次世代携帯電話方式「IMT-2000」に採用する通信方式の策定に注目が集まっています。有線電話並の通話品質や、2Mbpsのデータ通信などが盛り込まれ、国際規格として勧告される予定となっています。現在のところ、NTT DoCoMoやスウェーデンのエリクソン社などが開発している「W-CDMA方式(DS-CDMA)」と、CDMA特許を持っているクアルコム社を中心とした、IS-95(cdmaOne)の推進を図る団体CDGが推進する「cdma2000(MC-CDMA)」の方式が検討されています。DDIグループは、現在のcdmaOne用の通信機器を流用でき、初期投資を低く押さえることができることからcdma2000方式を採用することを決めており、同じCDMA発展型を採用しながら、それぞれ必要とする設備が異なるため、次世代に入っても通信方式は統一されないことになります。転送レートについては、依然さまざまな方式が検討されておりますが、現在のところどちらも最大2Mbps程度になっているようです。
余談ですが、2000年10月にDDI、KDD、IDOが合併し、KDDIという新会社になります。また、NTT DoCoMoは、無線局予備免許を取得し、W-CDMA方式の準備を開始しています。サービス開始予定は、NTTドコモが東京23区、横浜市、川崎市で2001年5月末頃から、2001年12月頃からNTTドコモ東海、NTTドコモ関西、2002年4月頃から NTTドコモ北海道、NTTドコモ東北、NTTドコモ北陸、NTTドコモ中国、NTTドコモ四国、NTTドコモ九州の予定となっています。また、同時にその他事業者も予備免許を受け、準備を開始ししています。
2001.10.26追記:最近では、すでに第4世代移動体通信なんて話まとまり始めているようですね。結局のところ、全世界で規格の統一を目指した第三世代では、各社の利権が絡み合いまして、一本化することはできなかったのですが、さてさて、このあとどうなるんでしょ。それはさておき、FOMAサービスは試験期間を過ぎ、すでに開始されているんですよねぇ・・・って、まだ良い使い道は無いみたいですが。(^^;
通信速度 | PDC 9600bps、DoPa 28.8Kbps、PacketOne 64Kbps FOMA パケット通信 下り最大384kb/s、上り最大64kb/s |
メリット | 通話エリア内なら何処からでもインターネットへアクセス |
デメリット | 通話料が高い! |
コストなど | 各社各様の料金サービスなので、書くことができません。(T-T) |
関連リンク |
よくわかる「携帯・PHSの世界」、
みかかの鉄人 |
トピック |
2001.10.26:第4世代移動通信システム,実用化時期は2010年前後に,ITU-Rが方針固める 2001.10.22:第3世代携帯電話「FOMA」がスタート この“第3世代”ってなんだろう? 2001.09.03:FOMAサービスを提供開始 2001.05.08:ドコモ「FOMA」試験サービスモニター募集は10日から 2000.11.30:第三世代移動通信システムのサービスブランド名を決定 |
携帯電話は、何をしても設備が複雑で高価になりがちですが、こちらPHSでは比較的単純な設備でコードレス通話を実現し、コストを低く押さえようとした携帯電話の一種です。ちょっと大掛かりな屋外でも使えるコードレス電話といったところですね。ご家庭のアナログコードレスフォンのように、電波の届く範囲は短く、高速移動中は通話できないなどの欠点を持っています。とはいえ、アナログコードレスフォンよりは通話可能距離は長く、音質も良好です。一時期、携帯電話のコスト低下や通話エリアの拡大などにより人気急降下でしたが、もともとがデジタル通信技術の上に成り立っていた関係から、比較的早い時期に高速通信を実現しており、さらに高速モバイル通信環境の需要の拡大から再び脚光を浴びることとなりました。
通信速度の面ではかなり早くから32Kbpsが実現されており、現在64Kbpsのサービスも始まっています。この様な背景から、移動体通信市場では、コンピュータを使う媒体として携帯電話よりPHSが多く用いられているようです。
PHSのデータ通信方式には、PIAFS(Personal Handyphone System Internet Access Forum Standard)とDDI POCKETのα-DATA方式があります。PIAFSは、PIAFによって策定された通信サービスです。現在主力の方式は32Kbpsですが、64Kbpsを可能とする方式には、NTT DoCoMoの採用するPIAFS Version 2.0のギャランティ方式と、DDI Pocketなどが採用するPIAFS Version 2.1のベストエフォート方式があるようです。ギャランティ方式は64Kbpsの通信が可能ですが、64Kbps対応のアンテナが必要となため、32Kbpsのアンテナしかないエリアでは使えません。それに対してベストエフォート方式では、32Kbpsのアンテナを2つ使って64Kbpsを実現しているため、アンテナ側の負荷により自動的に64Kbpsと32Kbpsを切替えることになっています。
α-DATA方式は、CSと呼ばれるアンテナ基地局内にメディア変換装置を組み込んで、ISDN回線に接続されます。メディア変換装置を基地局内に組み込むことにより、モデムやFAX、データ通信に対応するようです。さらにα-DATA32やα-DATA64では、α-DATAに加えそれぞれPIAFSやPIAFS 2.1なども統合され、PHSの標準的なデータ通信を確立しています。PIAFSだけですと、相手先が必ずPIAFS機器である必要があるようですが、α-DATA方式だとメディア変換装置の働きによって普通のTAなどとも通信できるようです。また、DDI POCKETでは、PRINと呼ばれるサービスにより、プロバイダを経由せずDDI POCKET網から直接インターネットへ接続するサービスも展開しています。
以上のことから、携帯・PHS市場では、圧倒的にPHSの利用が多いようです。ただし携帯電話に比べて使えるエリアがやや狭いのが気になります。サービスエリアですと、プロバイダもぐっと豊富になっているようで、地域型プロバイダにもPIAFSに対応しているプロバイダが多いようです。
でも、固定電話に比べて通話料金がちょっと高いのは気になりますね。
通信速度 | PIAFS 32Kbps、PIAFS 2.0 64Kbps、PIAFS 2.1 64Kbps |
メリット | 通話エリア内なら何処からでもインターネットへアクセス、設備コストが安いので、企業内LANでも使える応用範囲の広さ。対応プロバイダも携帯よりは多い。 |
デメリット | やっぱり通話料がちょっと高い。 |
コストなど | 各社各様の料金サービスなので、書くことができません。(T-T) |
関連リンク |
よくわかる「携帯・PHSの世界」、
みかかの鉄人 PHSを利用した映像配信サービスの開始及び対応端末 |
トピック |
2001.05.19:AirH",つなぎ放題の秘密は? 2001.05.16:『(エアーエッジ)』の開始について |
それ以外にも、NTTサテライトコミュニケーションズの衛星インターネット接続サービス「Mega Wave」も"ありました"。そう、過去形です。月額3980円で下り回線のみ1Mbps程度のサービスを提供していましたが、ユーザーが集中する時間帯には、かなりの速度低下が発生し、トラフィックに見合った設備を整えるにはコストがかかりすぎるとの事から個人向けのサービスを停止することとなってしまいました。
で、インターネット接続サービスをやめた時にあいた設備を利用して「日本初の映画本編ダウンロードサービス」なんてことを始めたようです。
International Telecommunication Union-Telecommunication standardization sectorの略で、国際電気通信連合の電気通信標準化部門のことです。国際間の通信仕様を標準化しています。
本書では、プロバイダなんていい加減な省略のしかたをしていますが、本来はInternet Service Providerまたは、ISPと省略します。このページをご覧いただいている方はほとんどご存知かと思いますが、インターネット接続業者さんのことで、インターネットとエンドユーザーさんの通信を仲介してくれる業者さんのことです。
ベストエフォート型とは、ひとつの回線を複数のユーザーで共有するため、必ずしも通信速度が保証されない接続形態です。CATVやOCNエコノミーなど、低価格の常時接続を提供する場合は、ほとんどこの形態です。そもそも、Ethernetもベストエフォートですよね。基本的にEthernetなどのパケット通信はベストエフォート型なんです。で、このところパケットの優先順位を決めて目的地に送るなどのQoS(クオリティオブサービス)を実現しようとする試みもあるようです。
広帯域を表す言葉ですが、最近のデータ通信関係では概ね数百Kから数十Mbpsの通信を表しているようです。フレッツ・ISDNはおいといて、目下のところCATVやxDSL、FTTHなどがブロードバンドの代表選手として取り上げられています。
いやぁ?、今回は長かったなぁ?、文書が。ここまで読んでくれた方っておられるのか、ちょっと心配です。それはさておき、今回は調査に膨大な時間を費やしてしまいました。家にいる時間はほとんど常時接続で調べまくったわけですが、なんか、定額・常時接続(で、できれば高速)の回線の必要性をひしひしと感じてしまいました。
ところで、みなさまがお住まいの地域では、どのような媒体がインフラとして準備されておりますでしょうか?地方自治体などが地域限定のさまざまな試みをされている地域も多々あると伝え聞いております。残念ながら、我が柏崎市は、これらの試みもあまり聞きませんし、本当に将来を考えているんだかいないんだかちっともわかりません。
・・・ってぼやきは置いといて、もしよろしければ、みなさまの地域で行われている試みを教えていただけませんか?このページの更なる充実のために活用させていただこうと思います。
2000.07.01追記
今回携帯・ピッチ関連の情報を調べていて、やっぱり気になったのがコストです。次世代携帯電話のW-CDMAでは、これまでの設備もほとんど入れ替えなくてはならず、さらにコストが合わなくなってくるのかなぁなんていらぬ心配もしてしまいます。もしcdma2000方式が低コストで提供できるようなら、設備を整えてエリアを広げることに手間取ってもたもたしていると、NTT DoCoMoといえど、苦戦を強いられることになるかもしれませんね。
あと、このページ内でもややおかしな現象と化しているのが「Digital」の読みです。デジタルとディジタルが書いてありますが、これらは参考文献で分けられていたとおりに書いているつもりです。たとえばISDNではWebページや技術資料を見てもディジタルと書いてあるのですが、NTT DoCoMoではデジタル携帯電話って書いてあります。このへん、読みは明らかにディジタルなんですが、どうしたものか・・・